【航空法改正】改めて機体認証と操縦資格に関して

先日、以下のTweetで航空法等の一部を改正する法律が公布されたことをご報告致しました。

当相談室でも幾度となくお伝えしてきました機体認証と操縦資格に関する話なのですが、改めて以前の資料などを基に振り返ってみたいと思います。

まず下記国交省のページより、本法案に関するドローンに大きく関わる点の部分を引用します。

[3] 無人航空機のレベル4飛行の実現等
【背景】
・ ドローンなどの無人航空機に関し、2022年度を目途に、「有人地帯上空での補助者なし目視外飛行」、いわゆる「レベル4飛行」を実現することが政府目標となっており、都市部上空での荷物輸送など無人航空機の更なる利活用が期待されている。
【改正概要】
・ 無人航空機の飛行の安全を厳格に担保するため、国土交通大臣が機体の安全性を認証する制度(機体認証制度)及び操縦者の技能を証明する制度(技能証明制度)を創設。
・ 技能証明を有する者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合、国の許可・承認を受けた上でレベル4飛行を可能とするとともに、これまで国の許可・承認を必要としていた飛行について手続きを合理化。
・ 無人航空機を飛行させる者に対し、事故(人の死傷、物件の損壊、航空機との衝突・接触等)発生時の国への報告を義務付けるとともに、運輸安全委員会が調査対象とする航空事故に無人航空機に係る事故のうち重大なものを追加。

引用:https://www.mlit.go.jp/report/press/kouku01_hh_000110.html

3 国土交通大臣は、無人航空機について、第一種機体認証又は第二種機体認証の区分に応じ、安全基準に適合すると認めるときは、機体認証を行わなければならないこととする。また、一等無人航空機操縦士又は二等無人航空機操縦士の資格区分に応じ、技能証明を行うこととする。
 4 航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがある空域又は、人又は家屋の密集している空域においては、技能証明を受けた者が機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合で、国土交通省がその運航の管理が適切に行われるものと認めて許可した場合でなければ、飛行させてはならないこととする。
二 運輸安全委員会設置法の一部改正
  運輸安全委員会は、無人航空機の使用者等から報告を徴し、無人航空機の使用者等の事務所等に立ち入って、事故等に関係ある物件を検査し又は航空事故等関係者に質問することができることとする。
三 施行期日
  この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとする。

引用:https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/204/meisai/m204080204060.htm

誰が何のために取得するものなの?

大前提として、「機体認証と操縦資格は、難易度が高く危険性のある飛行をする」以外では「任意」という認識で大丈夫と考えております。

では機体認証と操縦資格はどういう人が取得するものなのでしょうか?(取得すべきものなのか)

下記の資料をご覧ください。

※スマホの方はこちら

国としてはレベル4(カテゴリー3)と呼ばれる、有人地帯での補助者無し目視外飛行を達成していこうとしているわけです。

例えば過疎化した地域での宅配サービスのためにドローンを活用したいとか、建設工事だったり、離島への物資運搬なども含めてドローンをもっと活用出来るようにしていこうという流れです。(実際に先日も牛丼が空を飛んだニュースがありましたね)

【カテゴリー3】のために

で、このレベル4(カテゴリー3)の飛行を実現するためには

・機体認証(第一種機体認証)

・操縦資格(一等無人航空機操縦士)

が必須です。それがあれば有人地帯・補助者無し・目視外飛行が可能になります。もちろん加えて更に許可承認が必要になりますが。これを達成するのはなかなかのハードルですね。逆に言えばこれを所持するというのは運送業や物流に携わる人からすれば相当なアドバンテージになるのではないかと。

そう簡単に許可承認がおりるかは不明ですし、個人で取得するのも難しいと思います。

余談ですが、以前に「個人で目視外・補助者無し飛行をするにはどうすれば良いのか?」と航空局に問い合わせたところ、「現状においては、物資輸送やインフラ点検を行う事業者等を対象としております。」という回答をいただきました。でも海とかで飛ばすくらいだったら良いんじゃないの…?と思いますよね(;’∀’)ダメなんですね…。

【カテゴリー2】のために

で、続いてカテゴリー2です。現状では例えばDID地域や夜間飛行、空港周辺を飛ばしたり、物件投下などの飛行をする際はDIPS(国交省)で許可承認を得ないといけませんよね。もちろん当相談室でも申請代行を承っております。

飛行禁止空域図
引用:国交省HPより
引用:国交省HPより

このように現行で許可承認が必要な飛行がレベル3(カテゴリー2)に該当します。

・機体認証(第二種)

・操縦資格(二等無人航空機操縦士)

今回の航空法改正によって、操縦資格(二等無人航空機操縦士)機体認証(第二種)を取得・クリアすることで、飛行する際にその都度許可承認を得なくても大丈夫!っていうことになるんですね。

簡単に言うと「手続きの簡略化」のために取得する…っていう感じです。

カテゴリー2において、資格と機体認証をクリアすると

DID地域、夜間、目視外、人物件距離30未満

これらが許可承認不要で飛行可能となります。

ですが

総重量25kg以上/空港周辺/高度150m以上、イベント上空、危険物輸送、物件投下

上記の飛行に関してはいくら資格取得・機体認証クリアしても許可承認が必要となるので注意が必要です。

また、上記のどの飛行をするにしても安全策を講じないといけないので資格を取得したとしても、結局のところは補助者を立てるとか、立ち入り禁止措置などが必要になるわけでありまして…それだとDIPSで包括申請をしている私からすると取得してもあまりメリットは無いんじゃないのかな?と思うのです。

取得したら補助者不要!とかになるなら死に物狂いで頑張るのですが…。

独りで飛行させるドローンユーザーからすると補助者を連れていくってものすごい大きいハードルなんですよね(;’∀’)

ですがドローンスクールで一定のコースの受講を終えたものに関しては、資格取得に関しては多少の優遇措置がありそうなので、取得出来そうならしてみても良いかなぁと思ったりもしています。要検討です笑

ただ、先ほども記載した通り「基本的には取得しなくても、これまで通りの許可・承認(DIPS)で飛行が可能」という認識で考えておりますので「資格を取得しないと飛行出来ない」ということではありません。

ちなみに機体認証とは別に「型式認証」というものもあるのですが、これはメーカー側と国との間でのものなので、消費者である我々がそこまで深く気にしなくて良いものだと思っています。ここと機体認証の関係はもうちょっと勉強してみます。

少なくとも現在国交省が発表している「資料の一部を省略することが出来る機体」に掲載されているのは、ほぼ認証合格!みたいなものなんでしょうかね。

※スマホの方はこちら

許可承認不要の飛行は?

それと現行で許可承認不要の飛行をする場合も、引き続き許可承認不要という認識で大丈夫と考えております。

例えば私が先日実施した秋川での飛行も許可承認不要でした。DID地域ではなく、人・物件30m未満飛行ではありませんし、その他許可承認が必要が飛行ではありませんでした。(管理者への使用届は必要です。)

200g未満の機体は?

今回の改正というのはあくまで無人航空機…つまり200g以上の機体が対象ですから、mini系のドローンをご利用されている方にとってはすぐに影響があるものではないと思われます。
例の「100g以上の機体が規制されるようになる」っていうものは今回の件とはまた別件ということなので、その件に関しては続報を待ちましょう。(航空法施行規則に関係してくるようです。)

それとTwitterで興味深いニュースを見つけました。れいわ新選組の木村英子議員がドローンと障がい者の関係について質疑しておりましたのでご紹介します。

確かに車椅子生活を送っている方、寝たきりの方でも遠隔でドローンを操作して物流業に参加するという未来がやってきたら面白いですよね(*‘∀‘)

そんなわけでざっくりまとめてみました。まだまだわからないこと、新情報は出てきますので色々とわかり次第お知らせしていきます。また現状でこちらの認識や解釈が違っていた場合も随時修正していきます。

※本記事は当相談室スタッフ個人の認識によるものです。不備がありましたらご指摘下さい。

※最新情報や正しい情報に関しては国交省HPやニュースを確認下さい。

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